がんの一次予防
がんなど悪性新生物で死亡する人の割合は3割弱で、この割合は年々増加しています。がんが増加する背景には、長生きをするようになったことがあります。50代以降からがん罹患者は加齢とともに一気に増えていきます。つまり、昔はがんになる前に寿命が尽きてしまっていたけれど、今は長生きするようになったので、これががん患者数の増加に大きく影響しているというわけです。
がんは生活習慣病の一つです。生活習慣病は、不規則な食生活や食べすぎ、塩分の摂取過剰、運動不足などの生活習慣が原因で起こる病気の総称で、高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満などがよく知られています。生活習慣病の中でも、がんは命に直結しているので、怖い病気という印象があります。でも、がんの予防は、他の生活習慣病の予防と同じです。しかし、がんが他の生活習慣病と違う点は、がんは一度罹ってしまうと治療が難しいやっかいな病気だということです。つまり、がん検診を受けること(二次予防)よりも、がんに罹らないようにするための一次予防が最も大切になるというわけです。
がんの一次予防として、具体的に気を付けるのは、たばこ、感染症、飲酒です。
日本人におけるがんの要因は『喫煙』が男性29.7%、女性5%、『感染』が男性22.8%、女性17.5%、『飲酒』などが上げられています。(詳しくは国立がんセンターHP がん情報サービスをご覧ください)
とはいえ、たばこ、酒、感染症とは縁がなくともがんに罹ります。なぜでしょうか。
がん細胞は毎日5000個くらいができているといわれていますが、私たちががんに罹らないのは、体にはがん細胞を排除するしくみがあるからです。このしくみが免疫です。もし、免疫が落ちてしまうとがん細胞の排除が困難になり、がんに罹りやすくなります。
免疫を落とさないためには、次のことに気を付けましょう。
- ● リラックスタイムや良い睡眠をもつ(免疫が活性化されます)
- ● ストレスを溜めない(免疫細胞はストレスにとても弱いです)
- ● 発酵食品、きのこ類など免疫を上げるような食べ物を摂る
- ● 規則正しい生活をする(体への負担が軽くなります)
- ● 粘膜を保護する(軟膜は細菌などの侵入を防ぐバリア機構です。粘膜の保護には葉緑素がおススメです)
では、がんに罹ってしまった人はどうしたらよいのでしょう?
がんは酸素の少ないところ(血流の悪いところ)で育ちやすいという性質がありますので、血流を良くするようにしましょう。
また、もし、あなたががんになってしまっているとしたら、一番大切なのは「希望をもって生きること」とです。このことも忘れないで下さい。
血流を良くするには、次のようなことをお勧めします。
- ● 散歩する
- ● マメに体を動かす
- ● 定期的な有酸素運動(ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳など)
- ● 呼吸法を使うヨガ、太極拳などをする
どんな病気も始めの一歩は、ストレスや疲れです。普段から体をいたわる生活を送ってください。また、疲れたら滋養強壮剤を上手に利用して、早めに回復することをお勧めします。
(薬剤師)