コロナ対策~キーワードは抗炎症~
新型コロナ感染の拡大が続く中で、基礎疾患を持った方が感染し自宅待機中に死亡したという悲しいニュースが届いてきています。医療が充分に届かない自宅待機という状況の中で、どんなに辛い体験をされたのかと思うと胸が痛みます。
ここでは「活性酸素と炎症」をキーワードにした重症化対策をご紹介します。
「基礎疾患を持った方」が感染すると重症化しやすくなります。そもそも基礎疾患とはどのような病気を指すのでしょう?厚労省のHPにはコロナ感染に関する注意すべき基礎疾患として次の病気が挙げられていました。
- ・慢性の呼吸器や心臓、腎臓、肝臓の病気
- ・糖尿病
- ・がんなどを含む免疫低下を伴う病気
- ・重症心身障害
- ・睡眠時無呼吸症候群
- ・重い精神疾患
- ・BMI30以上の肥満の方
なぜ、このような基礎疾患を持った方は、重症化しやすいのでしょうか。糖尿病という病気を例にとって考えてみましょう。
糖尿病はご存知のように、血液中の血糖値が慢性的に高い値が続く病気で、過剰な糖が体内にあふれた状態になります。過剰な糖は、体内のタンパク質と複雑な化学反応を繰り返しながら、反応の過程で「活性酸素」を産生します。そして、この反応の最終段階では「終末糖化産物(AGEs)」と呼ばれる物質を作ります。これは『活性酸素発生装置』で、AGEsがある限り活性酸素が発生し続けますので、糖尿病では合併症が起こりやすくなります。
大量の活性酸素から炎症がおこる
なぜ、大量の活性酸素が存在すると炎症が起こるのでしょう。細胞内には炎症を稼働させるシステムがあります。このシステムが稼働すると炎症が起こるのですが、この引き金を引く要因の一つが大量の活性酸素なのです。炎症が起こると、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質や痛み物質が産生されます。炎症は“ボヤ”となって体内で燃え続けます。
ウイルスに感染すると、免疫反応がおき、大量の「炎症性サイトカイン」が産生されます。ボヤが大火事に発展してしまうのです。これは糖尿病だけの話ではなく、他の基礎疾患でも、事情は違えども、同じことが起こります。
では、どうしたら良いのでしょうか?
活性酸素が発生しているのですから、活性酸素を抑える物質「抗酸化物質」を常に食事などから取り入れることが良いですよね。野菜や果物は抗酸化物質の宝庫です。是非、積極的に取り入れましょう。
また、血液循環を良くしておくことも良い方法です。ここでは詳しくは述べませんが、老廃物が細胞に溜まったままの状態も「ボヤ」を引き起こします。一方で、血液循環が良いと、細胞一個一個が元気で、細胞機能は良好ですから、ウイルスに対する抵抗力がつくことも期待できます。
血液循環が良いということは、体のすみずみに栄養や酸素が届けられるだけでなかったのですね。
最後に疲労は溜めないようにしましょう。疲労の原因となるのも活性酸素だからです。普段から無理をせず、疲れたら早い段階で休み、疲れを取り除いておきましょう。
(薬剤師)