ほんとうの風邪の話をしましょう
新型コロナウイルスによって「感染症」についての情報がテレビでも頻繁に伝えらえるようになりました。風邪の原因はなんでしょう。そうですね。ほとんどの風邪の原因はウイルスです(一部、細菌が原因となる場合もあります)。
では風邪を引いてしまったときに、皆様が服用される市販の「風邪薬」は風邪を治すものなのでしょうか?
65%の人が間違っていた!風邪薬は風邪を治す薬ではありません
武田コンシューマーヘルスケアのインターネット調査によると市販の風邪薬について使用者の65%が「風邪薬にはウイルスを倒す効果がある」と誤解していたのだそうです。 また、病院でもらう抗生物質についても「ウイルスを倒す効果がない」と理解していた人は全体の20%程度にとどまったそうです。
風邪の原因はウイルス。ウイルスは生物の細胞の中に入り込んで増殖してゆきます。ここまでは大丈夫ですね。
ウイルスに感染すると、体はウイルス(ウイルスに感染した細胞)を排除するために免疫の働きを強化しようとし、その働きを色々な面からサポートします。
免疫細胞は高い温度でより働きやすくなります。この為に体は熱を上げて免疫細胞を応援しようとします。また免疫が体の中を自由に移動できるように、水分が通りやすい状態へ対応します(血管の透過性が高まる=鼻水が出る)。
また、体内の異物を外に出すための反応は咳という状態で現れます。
つまり風邪によって起こる不快な症状や辛い症状は、風邪を治すための治癒反応(免疫を応援するための反応)なのです。しかし、高い熱が続いたり鼻水や咳で眠れない状態が続いたりすると、体力が奪われ逆に免疫が万全な状態で働けなくなってしまいます。
ここで登場するのが「風邪薬」です。
ニュースでも伝えられていましたが、風邪薬(市販薬)の目的は「風邪によって現れる症状を抑えて、(病気を治すための)体力が奪われないようにする」ことです。 お薬は私たちの体に入れるもの。正しい働きを知ることが大切です。風邪の治療・そして予防の提案は・・
風邪(ウイルス)をやっつける(感染を防ぐ)のは私たち自身。つまり私たちの免疫細胞です。
免疫細胞は血管やリンパ管を巡りながら私たちの体を日々パトロールしています。こうしたパトロールの中で一日に5000個できるともいわれる「がん細胞」の芽を摘み取ってくれているのも免疫細胞です。
ヘルペス(皮膚や口、目などに小さな水ぶくれができる感染症)の原因もウイルスです。多くの方の体内にこのウイルスが潜伏していますが、普段は特に症状を引き起こすことはありません。
では、どんな時に症状が現れるのかというと・・
そうです。疲れやストレスで免疫細胞が弱ったときにヘルペスウイルスが活発になり、こうした症状が起きるのです。私たちが気づかない間も、免疫細胞は体内をパトロールしながら体を守っているのですね。
免疫がしっかり働けるように血流を応援!
血液の循環がよくなることで免疫細胞が全身をパトロールできます。
そして血液がしっかり循環することで筋肉や細胞で作られた熱が運ばれ、体温が維持されます。つまり血液の循環がよくなることで免疫が働きやすい環境が整えられるのです。 また血液の循環がよくなることで私たちの体の中に悪いものが入ってこないようにするためのバリア=食べ物が通る消化管、空気が通る呼吸器等を守ってくれている「粘膜」が強化されます。
テレビなどでも「免疫を高めることが大切」とよくいわれますが、その免疫を支えているのが私たちの体を巡る血液・血管なのです。