気象病を知ろう!~頭痛やめまい、関節痛にお困りですか? ~
天気が崩れたときに、頭痛、首や肩のコリや痛み、めまい、耳鳴り、関節痛や腰痛など、不調に悩まされる方は意外に多いようです。天気が影響しておこる病気なので「気象病」と呼ばれています。若い世代では“頭痛”が多く、中高年では“めまい”が増え、老年になると“関節痛や腫れ”などが増えていきます。世代によって違った症状が現れやすいのも「気象病」の特徴です。
なぜ天気が崩れると体に変調が起こるの?
ある動物実験では、気圧や温度を変化させて、慢性痛を起こさせてから耳の奥に位置している「内耳」という部分を破壊しました。すると、それまで現れていた痛みが消えたということでした。このことから「内耳」に気圧を感受するシステム(気圧センサー)が備わっている可能性が考えられました。そして、おそらく人間でも同様のシステムが耳にあるだろうと推測されました。
しかし、気圧が変わることで、誰もが同じように影響をうけるかと言えば、実際は個人差がありますよね。気象病では、特に「女性」、そして、「高齢者」が影響を受けやすい傾向にあります。また、エレベータでの移動や、屋外と室内の温度差などが引き金となって痛みが悪化するような方も気象病の影響を受けやすくなるようです。
気象病の起こるしくみは?
気圧の変化が「内耳」周辺にある自律神経に伝わると、自律神経のうちで交感神経の方が興奮します。(自律神経には、活動する時にはたらく交感神経とリラックスする時にはたらく副交感神経があります)この交感神経の興奮が痛みを増強させるようなのですが、メカニズムは他にもあり、また複雑で分からないことが多いようです。
自律神経を整えましょう!
自律神経が弱っていれば、気象病は出やすくなります。自律神経は外部環境(気温や湿度など)の変化に、内部環境(体内)を対応させるための神経です。この神経は血管と密接な関係をもっています。
血管が拡張したり縮んだりするには、血管に付いている自律神経のはたらきが必要です。交感神経が興奮し、血管を構成する筋肉(平滑筋)が収縮すると、血管は縮みます。また、細動脈から毛細血管へのつなぎ目に「前毛細血管括約筋」という筋肉があり、この筋肉は毛細血管へ流れる血液の調整をしているのですが、これが縮むと毛細血管の入口が狭くなり、毛細血管へ血液が流れにくくなります。毛細血管は栄養を送る血管ですから、体のすみずみに栄養や酸素、ホルモンなどが届きにくくなります。
気象病では交感神経がはたらき過ぎることが問題なのですから、もう一方の副交感神経をはたらかせれば良いではないかと考えますよね。副交感神経をはたらかせるには、リラックスすることがよいのですが、それだけでは交感神経と副交感神経のバランスはよくなりません。自律神経のバランスを整えるにはメリハリのある生活が大切なのです。
気象病を予防するには
次のようなことがおススメです。
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・耳の血流をよくするために、耳をマッサージする
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・身体を冷やさない
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・規則正しい生活をする
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・朝食を食べる
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・日中は活動的で夜はリラックスするようなメリハリのある生活をする
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・ぬるめのお湯の浴槽(38度から40度)にゆっくりつかる
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・しっかり眠る
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・ストレスを溜めない
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・腹式呼吸やヨガなどの呼吸法をする
症状がひどい場合は我慢せず、医療機関を受診しましょう。
(薬剤師)