「この前、健康診断で血圧が高かったんですよ。1回目の上の血圧が150、下が103、脈拍83！　2回目は136と86で下がっていたけれど…。お医者さんは寒さが影響したかもしれないから、様子を見ましょうというのですよね。本当に大丈夫かな？」と、心配そうな同僚。彼は40代後半で、今まで健康問題を抱えたことのない健康な人生を歩んできた方です。彼の血圧は本当に大丈夫なのでしょうか？

血圧の正常値は？

正常血圧は120/80mmHg未満です（『高血圧治療ガイドライン2019』）。これよりも高い血圧では、脳卒中や心臓病のリスクが高まることが明らかになっているためにこの値が設定されています。

高血圧の方の降圧目標は、75歳未満の場合、130/80mmHg未満です。この値は以前より低く設定されています（以前140/90mmHg未満）。血圧は低く抑えた方が脳卒中や心臓病のリスクを未然に効率的に下げられることが多くの研究で分かってきたからです。

血圧は変動する

血圧は常に変動するため、1回の測定値だけで判断するのは難しいです。同僚の血圧も同じ時間帯に2回測定しましたが、血圧の数値はかなり異なっていましたね。また、血圧は1日の中でも、季節や場所によって常に変動します。ちなみに、職場での血圧は多くの方で高い傾向にあるようで、ある調査では「3人に1人が職場高血圧」だったそうです。

平均血圧を計算してみましょう

同僚の血圧を「平均血圧」で計算するとどうなるのでしょう。「あれ？平均血圧ってなに？」っと、思われた方もいらっしゃるでしょう。まず、平均血圧についてご説明します。

心臓から送り出される血液は勢いが強いですよね。これが全身の末端まで届く頃には、その流れは穏やかになります。滝として流れ出た水が、川の流れとなり、平地にたどり着き、ついには田んぼのの水路を流れる緩やかな流れになるのをイメージしてください。平均血圧とは、この田んぼの畔の水路にかかる圧力のことです。決して、毎日の血圧の平均値ではありません。この平均血圧が高いということは末端の血管で動脈硬化が始まっている可能性があります。動脈硬化は通常、細い血管から太い血管へ進んでいきますので、早い段階で気づくことができれば、何らかの手を打つこともできます。皆さんも是非平均血圧を計算してみて下さい。

平均血圧＝（上の血圧　-　下の血圧）/3　+下の血圧

平均血圧の基準値は「110」と考えられています。もし、110以上であれば要注意です。

この式に同僚の血圧を当てはめてみると、1回目119、2回目103です。1回目の血圧が少し気になる数値ですね。

脈拍をチェックしてみましょう

脈拍数の目安は年齢によって違いますが、成人では1分間に60～80の人が多いようです。「脈拍数」は心臓が拍動した数ですので、脈拍数が多ければ心臓の仕事量が多いことになります。同僚の脈拍数は86でしたから、こちらもやや多めです。つまり、心臓に少し負担がかかり始めている可能性があります。

どうする今後の対策‼

「50歳を超えたら、なにかしらの病気を抱えるものです」と、ある中年男性が高血圧の薬を開始する時に話していました。確かに、私の周りを見回してみても、40代後半頃から様々な病気やお困り症状の出現に頭を抱えています。それが“がん”であれば深刻ですが、高血圧であれば命に直結しないので、「まぁ、なんとかなるさ」と開き直るのもひとつの手だと思います。

「でも…」と、私は立ち止まってしまいます。「やっぱり、病気で過ごす老後生活は嫌だ‼もしも、今の時点で生活を変えることで病気の老後を回避できれば、少し面倒でもそちらで頑張ろう…」と。高血圧になる原因は、人それぞれ違うと思います。もし、この記事を読まれているあなたが高血圧を気にされているなら、まず自分の原因を探ってみることから始めましょう。高血圧は血管を古びさせますので（同サイト内「血液サラサラの薬と血流から考える脳梗塞再発予防」参照）、良い血流を維持しましょう！

きっと、まだ間に合うはずです。頑張りましょう！

お勧め生活メモ

もし、あなたが既に高血圧になっている場合は、医療機関を受診することをお勧めします。適切な医療を受けることで、健康リスクを減らしましょう。