骨卒中※を防ぐ成分! ※骨が脆く折れやすくなる状態のこと。俗称。

日本人はカルシウム不足!
日本人のカルシウム摂取量はどの年代も不足しています。このカルシウム不足の原因はさまざまあると思います。日本の自然環境からの影響としては、❶日本の国土のほとんどはカルシウムの少ない火山灰でできた土壌、❷採れた野菜にはカルシウムが少ない、❸水もミネラル分が少ない軟水などです。『国民健康・栄養調査』などのデータに日本人のカルシウム不足については裏付けられているものの、それでも私たちが危機感を覚えないのはなぜでしょう?
今回は「カルシウム不足なんて気にしない!」と思っている、そんなあなたに「しっかりカルシウムを摂ろう!」を提案します。
カルシウム不足を知るには?
カルシウム不足は、血液検査では分かりません。もし、骨粗しょう症 になったとしても、血液中のカルシウム不足が異常値として表れることはほぼありません。「カルシウムをしっかり摂らなくちゃ」と頭で理解していたとしても、多くの日本人がこれを解決することができていないのは、「カルシウム不足が実感できない‼」からではないでしょうか。
カルシウムの海外事情 どうなっているの?
他の国はどうなっているか?・・・気になりますよね。北欧や欧米などではカルシウム摂取量は1日に1000mg以上と多い一方で、アジア諸国(南アジア、東アジア、東南アジア)では400mgと少ないようです。大腿骨骨折を調べた調査では、1990年頃と2000年頃の比較で、北欧や欧米では大腿骨骨折は1/4程度が減少の傾向がみられる一方で、アジア地域では増加傾向で、男性で2倍、女性で3倍近く増加しているという報告があります。
(佐々木敏、他「カルシウム摂取量と骨粗しょう症 ・骨折予防との関連」平成29~30年度(2017-18)厚生労働行政推進調査事業費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業) 報告書)細胞の重要な働きをしているカルシウム
細胞の外と内のカルシウム濃度差は10,000対1と大きな比率です。細胞外のカルシウムが細胞の内にドッと流入することで、細胞の活動が開始されます。カルシウムは細胞の働きをコントロールする「スイッチ」のようなものです。体を構成する37兆個全ての細胞にとって、カルシウムはなくてはならない存在です。ですから、もし血液中のカルシウムが不足したとしても、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムが溶かし出され、血液中のカルシウムは厳格にコントロールされるという仕組みが備わっています。
「そうか!じゃ、カルシウムをちゃんと摂っていなくても、大丈夫だね。良かった!」・・・などと思わないでください。実は、これが長く続くことで困ったことが起こります。
慢性的なカルシウム不足が招くこととは?
カルシウムは体内で一番多いミネラルで、99%は骨に貯められていますので、少しのカルシウムが削られても当面は大丈夫!しかし、問題は血液中のカルシウム補充をした後に余ったカルシウムです。余分なカルシウムは血管、筋肉、腎臓など骨以外の場所にたまってしまいます(異所性カルシウム)。例えば、血管の例をお話ししましょう。動脈は3層の膜で構成されていて、余ったカルシウムは真ん中にある「中膜」に染み込みます。すると、血管壁が厚く、硬くなり弾力を失うことで血流が悪化します(中膜動脈硬化)。心臓、肺、腎臓、肝などにカルシウムがたまることもあります(異所性石灰化)。このようなことが繰り返されると、骨はスカスカになります(骨粗しょう症 )。骨粗しょう症はじわじわと進行し、そして、ある時、突然に骨はグシャッと曲がります。これを「骨卒中」と呼びます。
慢性的なカルシウム不足に気付くには?
ある日突然起こるのは、脳卒中だけではなく、骨も一緒だったのですね。困りました。カルシウム不足の最大の問題点は「不足していても気づけない」ということだと思います。そして、ある時、最悪の事態が起こってしまう・・・。脳卒中なら、前兆のサインで気づくことができる場合もあります。しかし、骨が折れたら・・・。
「骨卒中」の前兆はあるのでしょうか?実は、慢性的にカルシウム不足が続くことで、体には様々な症状が現れています。しかし、それは加齢の症状と共通していて、気づくのがとても難しいのです。例えば、「足がつりやすくなる」、「皮膚に痒みを覚えるようになる」、「尿路結石リスクが上がる」などの可能性です。カルシウム不足なのか、加齢によって起こっているのか区別がつきません。
カルシウム不足、どうする?
日本人のカルシウム摂取量と推奨量はかなり乖離しています(図参照)。乖離が大きいところでは200㎎以上も不足しています。

カルシウムを食事から摂ることは大切で、できるだけ心がけていきたいところです。一方で、カルシウムを摂るために乳製品の摂り過ぎはおススメではありません。乳製品を多く摂れば、それに伴い脂肪も摂れてしまうからです。もちろん、低脂肪の乳製品を選択すすれば問題を回避できるでしょう。
では、サプリメントはどうでしょうか?サプリメントには賛否両論があることは事実です。一方で、多くの海外の例をみると、サプリメントをすすめる国も見受けられます。
選ぶなら「天然素材のカルシウム」
繰り返しになりますが、「日本人は男女ともに、どの年代においても、カルシウムの摂取量は推奨量より不足している!」。これは事実です。不足したままで良いのでしょうか? いいえ、良いはずがありません。カルシウム摂取の不足は骨密度を下げて、将来の骨粗しょう症の発症につながるからです。
現在、発売されているカルシウム製剤の成分はさまざまで、大きく分けると「合成のカルシウム成分」と「天然のカルシウム成分」の2つのタイプになります。もし、カルシウムが食事から十分に摂れないとすれば、自然に近い、つまり、天然素材がおススメです。(もちろん、天然素材が必ず優れているわけではありません)
天然素材のカルシウム成分には「ボレイ」があります。ボレイはカキの貝殻を原料にした古来より伝わる漢方で使われる生薬で、カルシウム成分の中で唯一「抗不安作用」が認められています(日本薬局方)。
どのような方法でカルシウムを摂るかは、ご自分の選択にお任せします。でも、忘れないで欲しいのは「カルシウム不足は放置しないこと!」 これに尽きます。
(薬剤師)