漢方薬で風邪対策
風邪が感染症法上の「5類感染症」に
2025年度から急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection :ARI)、“いわゆる風邪症状”が感染症法上の「5類感染症」に分類されています。
急性呼吸器感染症(ARI)は、上気道炎や下気道炎を引き起こす病原体による感染症の総称です。5類感染症に分類されたことで、風邪だけでなく、気管支炎や肺炎のような気道の感染症も発生動向調査の対象となります。医療機関からの報告数を把握し、新たな感染症が発生していないか確認することができ、重症化リスクの把握にもつながります。
急性呼吸器感染症が5類感染症に分類されたことによる生活への影響はありません※が、風邪の流行や発生状況を把握できるので、今どのような感染症が流行していて、自分が感染しないように感染対策に対する意識を高めることができます。
※インフルエンザや新型コロナと同じ5類の分類ではありますが、就業や登校の制限はなく、これまで通り自己判断での対応です。感染症対策の基本は「手洗い」、「せきエチケット(マスク)」、「換気」です。毎日の暮らしの中でできることを意識しましょう。
風邪かな…と思ったら
風邪には早めの対処が必要です。漢方薬は、慢性疾患の治療に向いていて、風邪などの急性感染症には効果がないと思われがちですが、漢方の治療体系の起源ともいえる「傷寒論」には、急性熱性感染症に対する処方が記載されています。漢方薬は、抗ウイルス薬のように、原因となっているウイルスに働きかけて倒すのではなく、生体の防御機構を最大限に働かせることで、病気を乗り越える特徴があります。
例えば、初期の風邪で、体がゾクゾクと寒気を感じる、発熱、頭痛や背中のこわばりがあれば、葛根湯がおすすめです。葛根湯は、身体にもともと備わっている力を利用します。風邪への効果を高めるには、身体をしっかりと温め、身体の状態を自身で整えることも必要です。葛根湯は、胃腸が丈夫で、体力が中等度以上の方に対して使う漢方薬です。
では、葛根湯の使えない体力が低下している高齢者や虚弱体質の人にはどのような漢方薬がよいでしょうか。
香蘇散がおすすめです。香蘇散は紫蘇と香附子という香りの良い生薬が中心となり、気を巡らせ、風邪を追いだす働きがある漢方薬です。体力虚弱で神経過敏の方の風邪の初期には、香蘇散をお使いください。
この二つの漢方薬、“葛根湯”と“香蘇散”は体質によって使い分けるとよいです。
和漢薬研究所の製品には、葛根湯処方の“風治散”と、香蘇散処方の“清香散”があります。どちらも顆粒タイプで口溶けが良く、香りを逃がさない製法にこだわっています。
気温差の激しい季節、体質に合った漢方薬の力を借りて、体調を整えましょう。
(薬剤師)

