体の片側がピリピリしたら…知っておきたい帯状疱疹の話
そもそも、帯状疱疹とは?
子どもの頃に多くの人がかかる「水ぼうそう」。その原因となるのが 「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。
実はこのウイルス、水ぼうそうが治ったあとも体の中から完全にはいなくなりません。脊髄のそばにある「神経節」という場所に長い間ひっそりと潜伏し続けます。その後、大人になって以下のようなことがきっかけで、潜んでいたウイルスが再び活動を始めます。それが神経を伝って皮膚に出ることで、帯状疱疹が起こります。
帯状疱疹による主な症状は、体の片側だけに出るチクチク・ピリピリした痛み(個人差あり)や、赤い発疹・水ぶくれがあります。帯状疱疹の痛みは人によって大きく違い、軽い痛みの人もいれば、とても強くつらい痛みになる人もいます。痛みが軽ければ、筋肉痛や虫刺されと勘違いして受診が遅れたり、痛みがひどい場合は腎結石や他の病気と間違われたりして、適切な処置が遅れてしまうケースも少なくないと言われています。
また帯状疱疹は治ったと思っても、痛みが数か月〜数年続くことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛」と言い、いわゆる後遺症の一つです。中には、10年以上痛みに悩まされたというケースもあります。
どうしたら、このような恐ろしい症状・後遺症のリスクを減らせるのでしょうか。
「72時間以内」の受診がカギ
帯状疱疹は早く治療を始めるほど、軽症で済みやすくなると言われています。発症から72時間以内の治療開始が重要と言われています。これは、治療に使われる抗ウイルス薬が、ウイルスが増えている最初の3日間に最も効果を発揮するからです。
早期治療のメリットとしては、主に次の3つが挙げられます。
・発疹や痛みの悪化を防ぐ
・回復が早くなる
・帯状疱疹後神経痛(PHN)の発症リスクも減る
水痘・帯状疱疹ウイルスは、皮膚へ出てくる前にまず神経の中で増殖するため、神経へのダメージ(炎症)が早い段階から始まります。受診・治療が遅れると痛みだけが長く残る原因になります。
筆者の身内にも、痛みが帯状疱疹だと気がつかず、治療が遅れたため7年以上痛みとしびれが続き、杖を使って生活している人がいます。
帯状疱疹は「早く気づくこと」が何より重要です。
帯状疱疹の初期サインとして、以下の症状が挙げられます。これらに気づいたら早めの受診がおすすめです。
・体の片側だけがピリピリ・チクチクする
・触れただけで痛い(衣服が触るなどでも痛む)
・数日後にその部分に発疹が出る
ワクチンの定期接種開始で予防しやすくなった
帯状疱疹の予防には、ワクチン接種が最も効果的とされています。日本では、帯状疱疹のワクチンが2025年4月から定期接種(一部公費負担)となりました。なお、ワクチンによって発症予防だけでなく、重症化や後遺症の予防効果も確認されています。
定期接種の対象者など、詳しくは厚生労働省ホームページを確認してください。
この他に、任意接種については接種費用を助成する自治体があるため、詳細についてお住まいの自治体の情報をご確認ください。
生活習慣でできる予防
基本的に疲労やストレスなどで免疫力が落ちることが発症の引き金になるため、日常生活での予防も大切です。
・良質な睡眠
・栄養バランスの良い食事
・適度な運動
・ストレスをためない工夫
これらはすべて、ウイルスの再活性化を防ぐ「免疫力の維持」に役立ちますので、意識して生活に取り入れてみましょう。
ストレスや疲労がたまっているような状況で、「なんとなく片側だけピリピリする…」そんな違和感があれば、まずは医療機関へ相談しましょう。
(薬剤師)

