冬場に多発するヒートショックを防ぐために！
「なかなかお風呂から出てこないな」と思っていたら中で倒れていた。冬の時期になるとそういった入浴中の事故が多く起こります。こうした冬場の入浴事故にはヒートショックが深く関係しているといわれています。
「ヒートショック」とは、「暖かい部屋から寒い部屋への移動など、温度の急激な変化が体に与えるショック」のことです。血圧は、気温が低くなると血管が縮んで上昇し、気温が高くなると血管が広がって下降します。その変化が急激であると、心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害を起こす可能性があるのです。
厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数※は高い水準で推移しており、近年では「交通事故」による死亡者数よりも多くなっていて約2倍です。
※令和元年、4900人。
では、ヒートショックを防ぐためには、どのような対策が必要でしょう。持病がない場合、前兆がない場合でもヒートショックは起こる恐れがあるため、「自分は大丈夫！」と過信せずに“もしもの時”を意識して対策を心がけましょう。
また、寒さが厳しい日ほど、温度差により事故のリスクが高まります。ヒートショックのリスクの目安を示す「ヒートショック予報」が気象予測情報から出ているので参考にするのも良いかもしれません。
ヒートショック対策～入浴の工夫～
- ①入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。部屋間の温度差をなくすために居室だけでなく、家全体を暖かくすることが重要です。WHO(世界保健機関)では、健康を守るための安全でバランスのとれた室内温度として、冬季の室温を18℃以上にすることを強く勧告しています。
- ②湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。かけ湯で体を徐々に慣らしてから入浴することも大切です。
- ③浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。急な立ち上がりは血圧低下を招く恐れがあるため、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
- ④食後すぐの入浴や、飲酒後、精神安定剤、睡眠薬等服用後の入浴は避けましょう。食後は胃腸に血液が集中し、心臓に流れる血液量が減るため、血圧が低下しやすくなります。飲酒後はアルコールの作用により、血管が広がるため、血圧が下がりやすくなるので注意が必要です。また、体調が悪いときは入浴を控えましょう。
- ⑤入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。入浴中に体調の悪化等の異変があった場合は、周囲の人に早期発見してもらうことが重要です。
参考
・消費者庁 冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意下さい！
・日本気象協会tenki.jp 「ヒートショック予報」
・STOP！ヒートショック
ウォーターめろん
（薬剤師）
（薬剤師）
